響け!ユーフォニアムの短編集、北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話。
そのなかの一編、「きみのいなくなった日」。
主役はみぞれと優子。
10pにも満たない話ですが、優子の優しさ、みぞれのダメさ加減(褒め言葉)がよく描かれています。
冒頭では優子を苦手と言っていたみぞれですが、
ラストでは変化しています。
彼女たちが2年生の時の関西大会前の頃には
優子だけがみぞれが希美を恐れていた本当の理由を概ね知っていました。
それはみぞれが優子に色々と話していた事に他なりません。
みぞれは優子にかなり心を開いていたと言えます。
優子は希美やほとんどの南中出身の部員が止めて行く中、
取り残されたみぞれを気遣っています。
しかしきっと優子も心細かった事でしょう。
彼女にとってもまたみぞれの存在が心強かったに違いありません。
ここで優子のみぞれ評が面白い。
みぞれは音大へ行って、しれっと外国の楽団でずっとオーボエ吹いていそう、と彼女は語っています。
依存気質の一方で、マイペースのみぞれならあり得える話です。
優子は人を見る目があるのでこの予想は当たる気がします。
自分に何も告げず部を去っていった希美。
その事に大きなショックを受けるみぞれ。
この短編はつらい出来事から始まるエピソードですが、
物語全体はどこか暖かく読み応えのある短編です。