☆☆☆★★
ネタバレ多少あり。
まずはのっぴきならないこの現実を前に、
最後までまどか☆マギカに挑み続けたスタッフの皆様には敬意を表します。
その一方で、作品自体への感想はちょっと複雑。
この作品に大きく惹かれたのは
劇団イヌカレーに象徴される独特な映像表現、魔法少女達の葛藤、
そしてそこから漂う死の匂い、緊張感でした。
自分の選択にどう向き合っていくのか?
後にして思えば、この作品が秀逸だったのは、魔法少女になる前ではなく、
選んだ後の葛藤を描いていた事だったと思います。
マミは仲間を見つける事で、杏子は(良い意味で)割切る事で、
ほむらは願いに執着する事で魔法少女という自分の選択に向き合おうとしていたように思えます。
さやかは自分の選択に向きあえず、答えを見出せないまま呪にとらわれてしまいましたが、
一方で彼女の葛藤は、この作品の本質を最も現していたとも感じます。
いずれにせよ彼女達の葛藤は胸に迫るものがありました。
では主人公のまどかは?
確かに彼女も葛藤し続けていました。
しかし残念ながら魔法少女になってからの葛藤が描かれる事はほとんどなかった。
そこが物語としては決定的に弱かったと感じます。
時間ループのエピソードも、ほむらの壮絶な想いを表現するには有効でしたが、
物語全体の緊張感を奪ってしまったように感じます。
人生一回しか無いからこそ、生死を感じ、葛藤するもので、
それをまさに体現していたのが9話までのこの作品だったと思うのです。
しかし時間ループのエピソードは「やり直し」という手段を物語に与えてしまい
この作品の要である緊張感、死の匂いを奪ってしまった。
それに加えてまどかが超越的な存在になってしまった事で
ワルプルギスの夜のカタルシスも弱くなってしまったような気がします。
この先の展開は難しいと、
9話の感想でも書きましたが、そっちへいっちゃったかな・・・
結局途中で跳ね上がった期待のハードルは越えなかった、というのが正直な感想です。
面白かったですが星三つ。