★★★★★
悲劇?喜劇?
どんな映画かと問われれば、戦争映画、反戦映画というよりも
三谷幸喜作品が悲劇であったなら、
もしくは実写板イデオン、
そんな作品でした。
すさまじい映画です。
これほどの作品にはそうは出会えないと思います。
劇中流れるあの軍艦マーチが恐ろしい程印象的。
戦争という大きな波に飲み込まれ、右往左往する登場人物達の
必死でもがく様は滑稽でありながら、
けれど活き活きとしていて愛おしく、そしてあまりに哀しいです。
この映画を見るには勇気が必要です。
それはきっとこの中の誰かに、自分を見出してしまうからでしょう。
そしてそこに映るのは自分の醜さであったり、自分の中に巣食う鬼であったり。
それでもまだ救われるのは、この作品は生々しいリアルを感じさせながらも
どこか寓話的なところがあるところです。
実はその辺りもこの作品の魅力ではないかと思います。
そうでなければただ悲惨なだけの映画になってしまいますから。
日本軍が侵略者として描かれていますが、反日映画では無いと思います。
中国では発禁処分に成ったらしいですし。
その理由は映画を見終わると理解できます。
濃い登場人物達も見どころの一つです。
香川照之の演技がまた凄まじい。
基本的には「キサラギ」のときとさほど変わらない気もしますが
本当に魅力的な役者だと思います。
星五つ。
ここ2〜3年で見た映像作品の中では突出しているような気がします。